「天ぷらといえば海老。サクッと揚がる、その秘密を語ります」

 

 

天ぷらといえば、やっぱり「海老」!

天ぷらというと、皆さん何を思い浮かべますか?
私はまず「海老」です。天ぷらと言えば「海老の天ぷら」。

もし「天ぷら盛り合わせ」を注文して、海老が入っていなかったとしたら――
ちょっとした苦情になるかもしれません(笑)
それくらい、海老は天ぷらの代名詞のような存在です。


フワフワ、サクッと。世界が求める天ぷらの理想形

次に多くの方がイメージするのは「フワフワ」「サクッと」した食感ではないでしょうか。
私もそこにかなりのウェイトを置いています。

なぜなら、この“フワサク感”は海老の天ぷらと並んで、世界中で共通の認識だからです。
もちろんフリッターとは全く別物。
日本の天ぷらは、油切れが良く、軽い衣であることが何より大切なんです。


永遠のテーマ:「どうすればサクッと揚がるのか?」

フワサク天ぷらを作るには、一般的には「天ぷら粉」を使います。
小麦粉にでんぷん・卵粉・ベーキングパウダーなどが調合されていて、
誰でも簡単に軽い衣に仕上げることができます。

ただし、それでも時間が経つとサクッと感はどうしても失われていきます。
そこで、料理人は「揚げたてを出す天ぷら」と「冷めてもパリッと感を保つ天ぷら」を分けて考えています。
お座敷天ぷらと会席料理の違い、ですね。


油がすべて。温度が命。

天ぷらを揚げるうえで最も重要なのは「油の温度」です。
これまで何万個と天ぷらを揚げてきましたが、
“温度管理こそがすべて”と言っても過言ではありません。

衣の作り方(混ぜすぎない、卵水を冷やすなど)も大事ですが、
油の温度を上げきらずに引き上げてしまうと、サクッと感は出ません。
目安は180℃、それ以上が理想です。

とはいえ、長く揚げすぎると食材が縮んだり、味が損なわれる。
このあたりが天ぷらの難しくも面白いところですね。


鍋と油にも、職人のこだわりがある

昔の天ぷら職人は、関東大震災のあと全国へ移り住む際、
自分の鍋を背負って旅をしたといいます。
それほどまでに「鍋」が命。厚みや大きさ、材質がすべて天ぷらの仕上がりを左右します。

油の種類にも違いがあります。
私のおすすめは、手に入りやすくて扱いやすい「米油」。
コクを求めるなら「ごま油」や「綿実油」、「紅花油」も良いでしょう。
※詳しくは過去ブログにまとめています。


油は「継ぎ足し」で生かす

古くなった油では、軽い衣はなかなか出せません。
だからといって頻繁に交換するのももったいない。
そこでおすすめなのが「継ぎ足し」です。

天ぷらを揚げながら、少しずつ新しい油を足していく。
そうすることで油が生き返ります。

保管する際は空気に触れさせず、ラップを落として密閉。
油の最大の敵は“酸化”です。覚えておきましょう。


衣に「正解」はない

最後に衣について。
正直、これに“正解”はありません。

あえて低温(160℃ほど)でじっくり揚げ、
「油を食わせる」ようなスタイルの天ぷら専門店もあります。
その場合は卵水をしっかり泡立て、冷やさず使います。

一方で、私は「衣に油を入れない」ことを大切にしています。
天箸に油が付いたまま衣を混ぜるのもNG。
衣の中に油が混ざると、どうも食感に違和感が出るんです。

でも、これも“人それぞれ”。
実際、衣に少量の油を混ぜてサクッと揚げる方もおられます。
本当に、天ぷらには「これが正解」というものはないんですよ(笑)


だから天ぷらは面白い

天ぷらを語り出すと止まりません。
それだけ奥が深く、世界に通じる油料理だからです。

そんな天ぷらを、家庭でも気軽に楽しめるように。
寿司スクール 慶では、期間限定で「天ぷら教室」を開催しています。

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