海外からのゲストから学ぶ世界におけるSUSHIの歴史と、世界のSUSHI事情

 

世界のSUSHIは、どこから広まったのか?

 

日本から海外へ輸出された「寿司」は、戦後ではなく、実は戦前よりもさらに古い時代にさかのぼります。

* Publication: Red, White, And Sushi: The Journey of Sushi in the United States from 1893-1960s
https://dash.harvard.edu/entities/publication/a0f40e6a-d751-4f4b-9e77-1f7297424efe?utm_source=chatgpt.com

ハーバードライブラリーより


2024年に公開されたハーバード大学の研究資料によると、明治33年(1900年)頃には、すでにハワイの日系移民社会で寿司が食べられていたことが、当時の新聞や資料から確認されています。

それまでは、「アメリカに寿司が広まったのは1960年代のロサンゼルスから」という説が有力でした。

私自身、戦前からハワイには寿司店が存在したことは知っていましたが、明治時代にはすでに寿司文化が根付いていたことを、この研究ではじめて知りました。

その後、1906年頃にはロサンゼルスのリトルトーキョーにも寿司店が存在していたという資料もあります。

しかし、この頃に提供されていた寿司が現在の江戸前握りだったのか、それとも大阪寿司だったのかは、まだはっきりしていません。

 


https://en.wikipedia.org/wiki/History_of_sushi
Wikipediaより

 

当時の移民には関西出身者が多かったことから考えると、最初に海外へ渡った寿司は、握り寿司ではなく、バッテラに代表される箱寿司・押し寿司・巻き寿司・稲荷寿司だった可能性もあります。

残念ながら、それを裏付ける資料はまだ見つかっておらず、この点は今後の研究に期待したいところです。

一方で、確かな記録として残っているのが、1966年(昭和41年)にロサンゼルス・リトルトーキョーの**Kawafuku Restaurant(川福レストラン)**で、本格的な江戸前握り寿司が提供され始めたという資料です。

私がちょうど1歳の頃ですね。

掲載されている写真のうち、右側は1976年のものですが、左側は寿司バーを二階へ増設した頃の写真ではないでしょうか。クレーンが写っていることから、おそらく1965年前後と思われます。以下資料
https://www.latimes.com/business/story/2023-05-03/la-sushi-history-began-at-little-tokyo-restaurant
Los Angels Timesより

この頃から、現地のアメリカ人が「生魚を食べる文化」としての寿司に触れ始めたのではないかと考えられます。

そして寿司はロサンゼルスからハリウッド、ニューヨーク、シカゴへと広がり、江戸前握り寿司がアメリカ各地へ普及していきました。


 

ここで、とても重要な視点があります。

日本からアメリカへ伝わった寿司は、基本的には江戸前握り寿司でした。

しかし1970年代、カリフォルニア州、おそらく川福があったロサンゼルス周辺で、「カリフォルニアロール」が誕生したとされています。

海苔を内側に巻く「裏巻き」です。

発案者については、バンクーバー発祥説など複数あり、現在も特定されていません。

その後、このカリフォルニアロールは日本へも逆輸入されるようになります。


 

ここで、海外から来られた多くのゲストとの会話を通じて、私が気付いたことがあります。

現在、「SUSHI」は世界中で知られる日本の食文化ですが、実際に海外で「SUSHI」と言えば、多くの場合はロール寿司を指します。

南米、ヨーロッパ、アジアでも、日本から直接広まったというより、アメリカで発展したロール寿司文化が広がったと考える方が自然かもしれません。

現地では、裏巻きや細巻きをカットし、その上にソースやトッピングを重ねた色鮮やかなロール寿司が主流です。

つまり、世界で最も普及している寿司は、日本生まれではなく、アメリカで発展した寿司文化だと言えるでしょう。

 

 

実際に、コロンビア・カリから来られたゲストは、

「日本食レストランはたくさんあるけれど、握り寿司は食べたことがない」

と話していました。

ロンドンから来られたゲストも、

「握り寿司は高級すぎて、普段は食べられない」

と言われていました。

スペインでもイスラエルでも事情はよく似ており、寿司と言えばロール寿司という認識が一般的なようです。

私自身も2012年にパリを訪れた際、握り寿司はマグロ・サーモン・エビ程度しか見かけませんでした。

一方で、ロール寿司は驚くほど種類が豊富で、中にはロール寿司を丸ごと天ぷらにして提供する店までありました。


 

こうして見てみると、現在の世界のSUSHI文化は、

  • 江戸前握り寿司は、日本とアメリカが共に広めた文化
  • ロール寿司は、アメリカで独自に発展し、世界へ広まった文化

と言えるのではないでしょうか。

また寿司の海外普及の歴史は、近年になって新しい史料が次々と見つかり、従来の定説が少しずつ見直されつつあります。
今後の研究によって、さらに新しい事実が明らかになるかもしれません。

 

 

 

 

今日は、そんな「世界のSUSHI事情」について考察してみました。

寿司職人の皆様はもちろん、寿司に興味をお持ちの方々の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

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