江戸前(関東)のにぎりずしと大阪(関西)のにぎりずし
こんなエピソードがあります、理学博士である篠田統(しのだおさむ)氏の実話です、
=名前をクリックすると博士のWikipediaに飛びます=
昭和33年ごろ、大阪の曽根崎の「豊新」を博士が訪問したとき、
立派な調理場のまな板の上におひつ(シャリびつ)が置いてあって、
博士は「この場所=まな板の上の高いところに飯櫃(めしびつ)があるのはにぎりにくいのではないか」
(江戸前ではまな板の上には置かず一段低いまな板の右手前に置く)
との質問に主人の豊田氏は、
「関西人は米粒を粗末にしてはいけないという考えが強いようで、
関西出の職人が東京のすしを握るとなると、飯粒を土間に落としたくない、
という気持ちが先になり、どうしても飯櫃の上でにぎるようになるので、
つけ場で前屈みになり、雰囲気が陰気になります」と答えたそうです、
=上記:すし技術教科書<関西ずし編>より=
この意味は、関東の江戸前気質のにぎりの「型」はやはり「威勢の良さ」にあり、
少々、米粒が飛び散ろうとも意に介せず「格好」を優先する「粋」というものに重点を置く、
反対に関西の握り手は粋というよりは、「もったいない」気質が先立ち、
どうしてもシャリを飛ばしたくなく、おひつの上で「こじんまり」握ってしまう、
だから高い位置に、あえてシャリびつを置いてシャリを取る時、
またにぎりを握るときも背筋がピンと伸びるように工夫していたという話です、
「さりげない話ではあるが」と篠田氏はおっしゃってますが、
また「深い感銘も同時に受けた」とエピソードを締めくくっておられます、
この流れは大阪の板場に受け継がれていて、
シャリびつをまな板の上ではなく低い位置、横に置くようになっても、
「にぎり」は胸の位置より高いところで威勢よく握れという親方連が少なくありません、
うちの親父もそうでした(笑)
かえって最近の「江戸前」を謳う職人、板場の方が低い位置で握っている姿が多く、
「陰気さ」があるように思えます、関西圏ではよりその傾向が強いのではないでしょうか、
男性であれ女性であれ、若い板前が通る声で「はいよ!」と言って、
威勢よくネタが、さも生きているかのように高い位置で握っている姿は好感を覚えます、
下向いて握っていてはいけません(笑)
今日はそんな話をしてみたいと思って文献を引っ張り出してきました、
たとえ一見(いちげん)のお客様でも、だれが来たのかな〜なんて見ずに(笑)
「へいッ!らっしゃ〜〜〜い!!」
と迎えて欲しいものですね!^^
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